『労働者M』@シアターコクーン

追加発売で取れたので中二階のサイドの席で。終わった瞬間は、稀に見る失敗作でこれじゃ役者が可哀想だと思ったけれども、あとで考え直して意欲作というか壮大な失敗作で、小さくウェルメイドにまとまった芝居よりもエキサイティングなのではないか、貴重なものを観たという気もした(値段には見合ってないけどさ)。まあでも単純に時間がなくて作りこめてないだけなのだろう。初日が5日なので、もっとあとに取ればよかったなあ。ちぇっ。楽日近くになればもっと変わっているに違いない。で、今回の公演は6時間ぐらいかけてやればよかったのではないかと思うし、それぐらいKERAはやればいいと思うので、再演してほしい。世界の終わりとハードボイルドワンダーランドを彷彿とさせる近未来と現代の二つの物語が交互に組み合わさって、Mという不在の謎に二つの世界が結び合わさっていくーっていうコンセプトは面白いし。ちょっとシベ少のスラムダンクになっていくのかと思って興奮したけど、そうでもなかったが物語の解体具合としては、まあいい勝負なのかもしれない。でもこれは憶測というか私の妄想だけれど、革命のくだりは、阿佐スパの「悪魔の唄」の戦争のくだりでも思ったけどどうも道具立てとして表層的で貧弱なのだった。革命や社会主義のことを描き込んで3時間の物語は作れなかったから現代版とパラレルにしたのかなーとも思った。小泉今日子の髪が異様に光り輝いていることと、堤真一吉原御免状以来やっぱりかっこいいかもーとときめきを感じた。恒例のイントロ映像がとってもモンティパイソンだった。終わったときの観客の当惑気味の拍手が面白かった。えんぺでもこれだけ感想が一致して(悪い)るのも珍しいのでは。終わったときには超絶空腹だったので初めて東急の上の階に上がって、レストラン街に行ってみた。前三谷幸喜夫妻を目撃したと聞いていた蕎麦屋でご飯を食べた。夕方だったからかもしれないが、ここは渋谷かというぐらい空いていた。