ユナイテッド・ステーツ・オブ・ヒステリカ

・帰ってきました。たった十日いただけなのに、数年ぶりのアメリカ上陸で、帰ってきてからかなりカルチャーギャップが。初日は特に電車なんかに乗っていても、同じ人種(アジア系)しかいない、というのが不思議な感覚に。
・持って行った「地球の歩き方」の安全の項目のところに、「(1)ボーッとしない(2)いかにも金目のものは身に着けない(3)ニューヨーカーを装う」と書いてあって、過剰にニューヨーカーを装おうと努力し続けたあまり、日本に帰ってきて束の間居心地悪くなった。たぶん今いるニューヨーカーたちもそうしてニューヨーカー的なハビトゥスを身に着けたのだ。ニューヨーカーは東京人などに比べて自由なふるまいをしているようにみえるが、その自由さを引き受けて体現しなければというプレッシャーは東京の比じゃないとおもう。
・今日、駒場あごらでペニノをみた帰りの井の頭から乗り換えの吉祥寺駅でスタバ行きたい、、、と思ったが閉まっていて一瞬かなりの心的苦痛を感じたのだが、ニューヨークのスタバの多さには本当にびっくりだった。そのうち、進んでも進んでも同じところに戻っちゃう夜の山道を車で走る話みたいに、都市の怪談みたくなるはず。コーヒー買いたいからとりあえずスタバ、みたいなことを繰り返してるうちに、中毒性があってスタバに行きたくなる。スタバ化する社会。
・最後の日の夜、これまたMさん情報でデビッドゴードンの「鳥」を観に住所だけメモって行ってみたら、前日行ったフォアマンと同じSt.Mark's Churchだった。一階でゴードン、二階でフォアマン。帰りにアスタープレイスのセントマークス書店が楽しすぎて長居し、11時過ぎになったのだけれど、最後の日でそれまでお金を使いすぎたのでケチって地下鉄に乗ろうと思ったら案の定、若者グループに話しかけられたり、楽勝と思っていたフランクリンストリート駅からカナルストリートを通ってホテルまで行く道は全然分からなくて、開いてる店はひとつもなくて、人通りもほとんどなくて、変なおばさんがオレンジの夜灯の下でぽつんと歌を歌っていて一ドルをねだられたりして、怖かった。
・旅に出て、私が日本で必死に保守しようと思っていた居場所だとか積み重ねようとしてる痕跡だなんてちっぽけだなあと一度客観視して、戻ってきて、まただんだん元の生活、現実に馴染んでみたら、やっぱり明日が不安だとか思うように。出国前にひとつ大きな翻訳の話があって、ほぼ決まりそうな感触だったので楽しみにしていたのが、帰ってきたら一転して流れたとの報告。翻訳の話が流れたのはこれで4度目。忘れかけてたけど新しい年が明けてますます将来は不安だし、将来っていうより老後だろって感じの歳になりつつあるが、あ、先行きって言えばいいのか、まあ先のことを憂えてもしょうがないので、楽しまなくちゃね。おにぎりわっしょい。
てことでゴサムのトム君の写真をあげとくよ。口ぽかんとするほどの巨体が写真では分からず無念。