生きさせろ! 難民化する若者たち

生きさせろ! 難民化する若者たち


苛酷で残酷なフリーター、ワーキングプア、ホームレス・過労死などの実態をたくさんの当事者へのインタビューをまじえて剔りだしています。映画にたとえるとマイケルムーアの『ボウリングフォーコロンバイン』、力強いメッセージ性と説得力のあるルポタージュです。この本を読むことで社会の構造をわずかでも変えるような力の契機が生まれる……という楽観的な希望は持てないけれど、当事者にとって救いとなる本であることは間違いないし、環境が恵まれてる人も恵まれてない人も(関係ない・興味ないと思ってる人も当事者だと思ってる人も)読むと色々考えさせられたり熱い気持ちになったりするので読んでみてください。色んな人の反応や感想を聞いてみたい。
『働かない 怠け者と呼ばれた人たち』の最終章でも、日本のフリーターに触れていたけど「夢追い型」のフリーターがロマンチックに語られていたように、『働かない』は「上を向いて歩こう」的な働かないファンタジーを謳う本だっただけに、『生きさせろ』はまるで『働かない』のコインの裏面のような暗澹とするエピソード満載で面白かった。ちなみにこの本が届いた日、『悪魔のいけにえ』を観に行って、帰ってからこの本を読んでたら、『生きさせろ』のほうがずっとホラーだと思った。